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絶滅危惧種ムラサキの化粧品への応用を研究、浸透力を高めた独自成分「カプセル紫根」を開発し、特許を取得

新素材開発

古くから漢方薬として使われてきた「ムラサキ」の根の部分である「紫根」は、創傷治癒の促進作用や抗炎症作用などの機能があるため、ひび、あかぎれ、外傷を治す薬として用いられていました。新日本製薬は、そのような機能がシワや肌のたるみの原因であるコラーゲンの減少を解決・改善できるのではないかと考え、アンチエイジングに期待できる薬用植物として研究を開始しました。

紫根エキスの有効性を調べ、コラーゲンを産み出す線維芽細胞の増殖効果とコラーゲンの保護作用があることを発見

ムラサキは、栽培も困難で希少な絶滅危惧種の植物ですが、新日本製薬では素材化することに成功しています。私たちは紫根から抽出した「紫根エキス」に、コラーゲンを産み出す細胞である線維芽細胞の活性化、そしてコラーゲンの分解を阻止する機能があるのではないかと考え、2つの検証を行いました。その結果、紫根エキスは、コラーゲンを産み出す線維芽細胞の増殖効果とコラーゲンを保護する作用があることを発見しました。

研究1.線維芽細胞増殖効果の検証

蛍光顕微鏡写真
(染色:Hoechst試薬 / 倍率:×100)

Blue:細胞核 

※シコニン・・・紫根エキスの有効成分

線維芽細胞は、真皮に存在し、コラーゲンを産み出しています。紫根エキスを活用することで、線維芽細胞の量に影響があるか調べました。この図において、線維芽細胞にシコニン(紫根エキスの有効成分)を添加することで、約10%線維芽細胞が増加したことが確認できました。

研究2.紫根エキスのコラゲナーゼ阻害作用の検証

コラーゲンを分解してしまう機能を持つコラゲナーゼの阻害作用について調べました。この図において、紫根エキスを5%添加することでコラゲナーゼの働きを約51%阻害できる効果が確認されました。

コラゲナーゼとは
コラーゲンを分解する酵素。紫外線や活性酸素などの刺激によりつくられ活性化する。

コラーゲン代謝
分解が促進されることで、コラーゲン量が低下する

独自成分「カプセル紫根」を開発

私たちは、紫根エキスの肌への浸透性をより高めるため、紫根エキスのカプセル化に取り組みました。その結果、肌の角質層にある角質細胞間脂質と同様に、水と油の層が交互に重なったラメラ構造を持つ紫根エキスのリポソーム化に成功。製造方法について、特許(特許第6242422号)を取得しています。

リポソーム化することで、従来の「紫根エキス」の25倍の浸透量を実現することができました。コラーゲンを産み出す線維芽細胞の増殖効果とコラーゲンを保護する作用に加え、角質層のすみずみまで浸透する「カプセル紫根」の開発は、アンチエイジング効果の高い素材としての活用が期待されます。日本古来の薬用植物「ムラサキ」の効果や希少価値を、日本のみならず世界中の方にぜひ知っていただきたいと思います。