バイオミメティクス(1)から誕生した「グアニン結晶」を化粧品へ応用、特許を取得 ~化粧品のシミ・くすみのカバー効果、肌のトーンアップ効果の向上に期待~
研究開発 2022.05.13
新日本製薬 株式会社(本社:福岡市、代表取締役社長CEO:後藤孝洋)は、魚類が光を操り周囲の環境に同化する習性より着想を得て、バイオミメティクス(1)から誕生した「グアニン結晶」を化粧品へ応用する技術を広島大学・山口大学と共同研究により開発いたしました。魚類の鱗などに存在し、光を乱反射する「グアニン結晶」を粒径5㎛以下に分散化し化粧品に添加することで、化粧品のシミ・くすみのカバー効果や肌のトーンアップ効果が期待できます。なお、本開発技術は2022年3月11日に特許(特許第7039086号)を取得いたしました。
(左)粒径20㎛・(右)粒径5㎛以下の「グアニン結晶」
【「グアニン結晶」とは】
地球上の全ての生物が持つDNA構成塩基の1つである「グアニン」が結晶化した物質です。色素を持たない透明性のある物質ですが、結晶の積層構造で光を屈折させ、様々な色彩を呈するという特長があります。哺乳類の肝臓やすい臓、魚類の鱗や皮に存在しており、魚類の鱗がキラキラと光を乱反射する要因の1つだと言われています。魚類の鱗や皮に存在する「グアニン結晶」の粒径は20㎛が基本ですが、私たちは「グアニン結晶」の特長を効率よく引き出すため、粒径が5㎛以下に加工されたものを化粧品へ応用してまいります。
※ 1㎛=0.001㎜
【開発の背景】
当社は、多様化するお客さまのニーズに寄り添い、スマートで新しいライフスタイルを提案するため、スマート“ライフ”サイエンスという方針のもと研究開発を行っています。
今回、私たちはお客さまのシミやくすみ等の肌悩みを効率的に解決することをめざし、魚類が外敵から身を守るため、キラキラと光を屈折させ周囲の環境に同化しカモフラージュすることに着目しました。その要因となる「グアニン結晶」を化粧品へ応用することは、シミ・くすみをカバーすることにつながると考え、この独自のアイデアを基に、グアニンを結晶化させる技術とグアニン結晶の分散化技術を持つ広島大学・山口大学と共同研究する運びとなりました。
このように、生物の構造・機能等から着想を得て新技術の開発や商品開発に活かす技術は、バイオミメティクス(1)と言われ、持続可能な社会実現へ向けた技術革新をもたらすものとして注目されています。
【特許出願の概要】
登録番号 :特許第7039086号
発明の名称:化粧料組成物、ホワイトニングジェル化粧料、目元用クリーム化粧料及びファンデーション用クリーム化粧料
【期待される効果】
本研究では、5㎛以下の「グアニン結晶」を自社商品(オールインワン美容液ジェル、クリーム)に0.1%~0.5%添加し、肌上での有効性を検証いたしました。
①カバー効果
「グアニン結晶」を添加した自社商品を人工的に作成したシミ肌に添付した後、十分に乾燥させ二次元輝度計でシミの輝度を測定しました。添加なしと0.1%添加を比較するとシミ部分の輝度が約8%高くなり、また添加なしと0.5%添加を比較すると約27%高くなりました。「グアニン結晶」を0.1%以上添加することで、カバー効果が向上することを確認しました。
②トーンアップ効果
「グアニン結晶」を添加した自社商品を肌に添付した後、十分に乾燥させ二次元輝度計で肌の輝度を測定しました。添加なしと0.1%添加を比較すると、肌の輝度が約5%高くなりました。添加なしと0.5%添加を比較すると輝度が約7%高くなりました。「グアニン結晶」を0.1%以上添加することで、肌のトーンアップ効果があることを確認しました。
③ソフトフォーカス効果(2)
「グアニン結晶」を添加した自社商品を文字が印刷されたフィルムに塗布した後、写真で比較しました。「グアニン結晶」0.1%以上の添加で、文字が見えにくくなり、ソフトフォーカス効果(2)が向上することが確認されました。肌のくすみや赤みなど、色ムラを補正することが期待できます。
④保湿性向上効果
「グアニン結晶」を添加した自社商品を肌に塗布した後、10~120分後の肌水分蒸散量および肌水分量への影響を測定しました。「グアニン結晶」を添加することで、肌水分蒸散量は抑制され、肌水分量は増加することを確認しました。添加の濃度が高くなるにつれ、保湿性が向上することも確認しています。
当社の研究開発は、“効果を実感でき、満足していただける商品をお客さまへお届けしたい”という想いから始まりました。これまで当社では、エイジングケア※において特に重要だと考える、コラーゲンをはじめとした新素材を開発し、特許を取得しています。今後も、美と健康の領域においてお客さまのお悩みを解決するために、新素材の開発と生体バリアの研究を強みとして、大学やパートナー企業との共同研究を推進してまいります。
※ 年齢に応じたお手入れのこと
【用語解説】
(1)バイオミメティクス
生物の構造・機能等から着想を得て、新技術の開発や商品開発に活かす技術。ハスの葉の撥水効果はヨーグルトのフタへ、サメ肌の流体抵抗の低減効果は競泳水着へ応用されるなど、商品として実用化されている。
(2)ソフトフォーカス効果
光が多方向へ散乱することで、その下にあるものを見えにくくする効果のこと。
※ 当リリースは薬機法等諸法規に基づくものではありません。