「新しい」価値をお客さまへ届けるための研究開発
私たちR&Dセンター課は、お客さまの美と健康に役立ち、笑顔あふれる毎日をつくりたいという想いで、有用な新素材の開発や、肌や身体の機能の仕組みに基づいた成分の研究に日々取り組んでおります。
独自価値の高い商品づくりに貢献する研究事例を2つご紹介します。
佐賀大学との共同研究によりジェル剤型は有効成分の肌への透過量が高いことを確認
研究背景
オールインワンジェルの浸透力はどれくらい?
当社は「肌に必要な成分を、必要なところへ届ける※1“完璧な1個”でありたい」という想いのもと、オールインワンジェルの開発を行っています。今回はオールインワンジェルの効果を皆さまへお伝えしたく、ジェル剤型と化粧水、乳液を使用した際の有効成分の肌への透過量について評価を行い、ジェル剤型による有効成分の浸透力を確認しました。
※1 角質層まで
試験方法
水溶性有効成分であるナイアシンアミド( 以下、有効成分と記載) を指標成分とし、下記3種類の製剤※2について、人工合成膜「Strat-M Membrane®※3」( 以下、人工合成膜と記載) とヒト摘出皮膚における指標成分の透過量を測定しました。
- 当社商品オールインワンジェルのモデル( 以下、ジェルと記載)
- 化粧水モデル( 以下、化粧水と記載)
- 乳液モデル( 以下、乳液と記載)
※2試験に使用した製剤のモデルは、剤型化に必要な成分のみを配合( 浸透促進剤などは含まない)
※3 皮膚透過性試験用フィルター
【試験1】人工合成膜を使用した透過性試験
人工合成膜に、ジェル、化粧水、乳液を単体で塗布した場合の有効成分の透過量を比較しました。グラフの縦軸は、人工合成膜を透過した有効成分の量、横軸は各製剤を塗布してからの時間経過を記載しています。
試験の結果、ジェルを単体で塗布した場合の有効成分の透過量は、化粧水や乳液を単体で塗布した場合に比べて高くなることを確認しました。
【試験2】ヒト摘出皮膚を使用した透過性試験
ヒト摘出皮膚に、化粧水 ・ 乳液を重ねて塗布した場合とジェル単体で塗布した場合の有効成分の透過量を比較しました。グラフの縦軸は、ヒト摘出皮膚を透過した有効成分の量を記載しています。
試験の結果、ジェル単体で塗布した場合の有効成分の透過量が、化粧水と乳液を重ねて塗布した場合に比べて約2.3倍高くなると確認しました。
研究結果
今回の研究では、人工合成膜とヒト摘出皮膚を使用して、ジェルの有効成分の肌への透過量が化粧水や乳液に比べて高いことを確認しました。さらに、化粧水と乳液を重ねて塗布するよりも、ジェル単体を塗布した方が有効成分の肌への透過量が高いことも確認しました。
当社は今後も、有効成分の浸透について、また、製剤における浸透効果について研究を進めてまいります。
コラーゲンの浸透性とバリア機能を高める独自成分「プロテクトコラーゲン」を開発、製造方法に関する特許も取得
研究背景
水と油をなじませるリン脂質の特徴に着目
当社は肌のハリや弾力を支えるコラーゲンがエイジングケアにおいて重要であると考えています。しかし、水溶性成分のコラーゲンは、肌のすみずみまで届きにくく機能性を十分に発揮できていない、と一般的に言われています。そこで、水と油をなじませる性質( 両親媒性)を持つリン脂質に着目しました。リン脂質は保湿や浸透技術で応用されているリポソーム化技術などで使用されています。このリン脂質とコラーゲンを組み合わせることにより、肌への浸透性を高められるのではないかと考え、本研究に取り組みました。
研究結果
コラーゲンとリン脂質を組み合わせることで肌のバリア機能を向上させることを確認
水溶性のコラーゲンを細胞膜の構成成分であるリン脂質と組み合わせることで、肌になじみが良く浸透性の高い「プロテクトコラーゲン」を開発しました。独自の製法で均一で小さな粒子が製造できるようになりました。これによってリン脂質とコラーゲンが角質層のすみずみまで行き渡り、肌のバリア機能を向上させることを確認しています。
特許取得
「プロテクトコラーゲン」の製造に関して、特許を取得
登録番号:特許第7466852号
登録日:2024年4月5日
発明の名称:コラーゲンペプチドを含む組成物を製造するための方法
溶媒中で、魚類の皮またはウロコ由来のコラーゲンペプチドとプラズマローゲンを含むリン脂質とを混合することを含む、該コラーゲンペプチドと該リン脂質との複合体の粒子を製造するための方法
「プロテクトコラーゲン」のバリア機能検証
試験方法
下記3種類のモデル製剤について、バリア機能の検証を行いました。
- プロテクトコラーゲン配合製剤
- 一般的なコラーゲン配合製剤
- 無塗布
【試験1】肌の水分蒸散量 (TEWL) の評価
各モデル製剤を6週間継続使用し、肌の水分蒸散量を測定しました。下記は、一般的なコラーゲン配合製剤を「1」として水分蒸散量の変化量を表したグラフです。プロテクトコラーゲン配合製剤の場合は、水分蒸散量の変化量が小さく、一般的なコラーゲン配合製剤に比べて、肌の水分が保持されていることが確認できました。
【試験2】 角層細胞の評価
プロテクトコラーゲン配合製剤を使用した肌を確認すると、角層細胞が均一に配列しており重層剥離が見られませんでした。このことから、肌のバリア機能が向上している状態であるとわかりました。