2021年特集.絶滅危惧IB(EN)に分類されるムラサキの自社栽培技術を確立
化粧品や健康食品に配合されている和漢植物の多くを輸入に頼っている背景より、新日本製薬では国産和漢植物の希少性を認識し、絶滅危惧種に指定された「ムラサキ」の自社栽培に取り組み、独自の栽培方法を確立。国内での安定供給を実現いたしました。
絶滅危惧種に指定されているムラサキ
スキンケアの配合成分として用いられることも多い紫根エキスは、古くから日本人に親しまれてきた「ムラサキ」という植物の根を原料としています。紫紺から抽出されるエキスには、「シコニン」という優れた有用成分が含まれており、当社ではシコニンに早期から着目していました。ムラサキは、ムラサキ科の多年生草本で、国内では北海道から九州までの日当たりのよい草原や高原、台地に分布しています。乱獲や山地開発などで急激に減少した結果、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧IB(EN)に分類されており、国の保護対象植物となっています。そのため国内ではその多くを中国からの輸入に頼っています。
自社栽培方法を確立し特許を取得
高品質な紫根エキスを安定的に、供給するのは国内では難しい状態の中、当社では2006年から薬用植物の研究を開始。ムラサキは非常に栽培が難しい植物とされ、また栽培に関する情報がほとんどないため困難を極めました。しかし試行錯誤を経て2009年に筒栽培を活用した国内栽培に成功し、さらに有用成分含有量を高める栽培技術を2013年10月に確立しました。また2016年には、この栽培技術に関する特許を取得しています。
カプセル紫根※1の製造方法で特許を取得
自社栽培技術を確立したムラサキですが、化粧品に配合する「紫根エキス」は、油溶性で化粧水などに配合する際の安定性が十分でなく、配合量が限られてしまう難点がありました。そこで当社は、紫根エキスの安定性を高めることに取り組み、ムラサキの根から抽出した「紫根エキス」をリポソーム化し、油層と水層が、交互に重なったラメラ構造(層状構造)を形成することで、油溶性の「紫根エキス」をより幅広く化粧品に配合することを可能としました。「カプセル紫根」と「紫根エキス」の浸透量を比較検証すると「カプセル紫根」が25倍であるという結果が得られました。
※1 油溶性シコンエキス(1)、水素添加大豆リン脂質(保湿成分)
方法
総シコニン濃度0.9%に調整した「カプセル紫根」及び「紫根エキス」を被験物質とし、フランツ型拡散セルに装着した培養皮膚モデル(表皮)上に100mgを添加(N=2)。
6時間後のシコニン(紫根の有効成分)の培養皮膚内の皮膚浸透量をLC/MS/MSで定量。
自社商品に紫根エキスを配合
当社の主力ブランドであるパーフェクトワンの100を超えるアイテムに、自社栽培技術を用いて栽培したムラサキの根から抽出した紫根エキスを配合しています。紫根エキスには、コラーゲンを産生する線維芽細胞の増殖効果があることを確認しています。